2020/05/14 15:19

2016年の7月。
わたしはアメリカで最も小さい州
ロードアイランドにいました。
歴史ある「ニューポート・ジャズ・
フェスティバル」のポスターを
手掛け招待されたからです。

公式ポスターを手掛けるのが
日本人で初というのも光栄でしたが、
引退を発表した創業者ジョージ・ウェインの
ラストイヤーという節目だったことは
一ジャズファンとして特に嬉しいことでした。

フェスのレポートは当時のWOW誌に
書いたのでそちらを参照してください。
今回書きたかったのは「Merchandise」。
つまり、物販コーナーです。

Tシャツと同じようにポスターが
売れていることに感動を覚えました。
自分が手掛けた云々ではなく
「野外フェスでポスターが売れる」
こと自体が驚きでした。

ポスターを購入した人は各々
そばに設置してある大きな紙管を手に取り
ポスターをくるくると丸めいれ
プラスティックのフタをします。
運営のサービス方法にも、
皆さんの扱い慣れた動きにも感心しました。

「日本は欧米と比べて
住居が狭く貼るスペースがないから」

「日本のポスターは情報を
詰め込みすぎて芸術性がないから」

などなど、日本でポスターが売れない理由は
それなりに感じていましたが、
文化の違いを身をもって感じた瞬間でした。

自分が主催するイベントや周年の機会には
できるだけポスターを作ることにしています。
日本では需要がないと分かっていても、です。
それは、グラフィックデザイナーにとって
ポスターはやっぱり花形だからです。

ポスターが売れることは、たぶん皆さまが
思っている以上に「特別」なことなのです。
ポスターを購入いただいた皆さま
本当にありがとうございます。

Takao Fujioka